経済とペダルをまわすブログ

ロードバイクの旅行記とかいろいろ

Mt.FUJIヒルクライム 2017

今回は珍しくレースのレビュー。2017年のMt.FUJIヒルクライムで、元々所属チーム向けのレポートとして書いたものを書き直しました。結局、これを最後に富士ヒルには出なくなりましたが、遅くても上達が実感できるヒルクライムレースは楽しいので、また始めたいですね。(写真は試走時のものも使ってます。)

 

 

 

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3回めの富士ヒル。この年はTAMA ROADNETWORK(TMN)と同行した。TMNはゆるポタ・グルメライドからクリテリウムヒルクライム・ブルベ etc…と、なんでもあり。東京多摩地区を中心に活動し、週末自然発生的に集まるサイクリングサークルだ。TMNでは「富士ヒルでブロンズを取りたい」をコンセプトにスピンオフの富士ヒル部がある。


富士ヒルはリザルトによって参加賞にランクが付けられる。90分までは一般参加賞の青色カラムスペーサー、これを切るとにブロンズ・シルバー・ゴールドに変わっていく。「富士ヒルのブロンズ」は初心者から中級者へとステップアップした証明、いや称号として認知されている。初参加の2015年は116分、2016年は96分だった。今年こそはぜひとも勝ち取りたい。そのためにFELT Z6からCANYON ULTIMATEに乗り換えたのだ。

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宿泊はエバーグリーン富士。受付会場まで、その距離500 m。おそらくスタート地点からは最も近い宿泊施設だ。ここは晩御飯が豪華だし、大会終了後には無料で大浴場を借りられるというサービスがある。なにより朝早いヒルクライムレースにおいて、ギリギリまで睡眠時間が確保できるのは大きい。

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翌朝、充分な睡眠と朝風呂のおかげでコンディションは完璧…のはずだった。会場につくと例年以上に混雑していて、ウォームアップができない。急遽ランニングで心拍を上げるも、その間に自分のウェーブがスタート地点へ移動。慌ててついていくがここで尿意を催し、スタート地点脇のトイレに駆け込んだ。結局ウェーブに合流したときには最後尾。…トイレはこまめに行こう。


隊列が前に進む。周りでパチパチとクリートのはまる音が鳴る。今回はフロントは原則インナーでくるくる回す作戦。始めの1 kmはパレード区間。胎内交差点を曲がってすぐの立ち上がりから計測スタート。リアは25T、ケイデンスは90 rpm。スタート直後の急坂で速度の落ちた集団を一気に交わす。始めで詰まってはタイムが上がらない。と、ここでサイコンのラップ計測し忘れに気づいた。真のラップタイムは「画面上の数字+1 min. 」。覚えておかなければ。

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思ったよりも調子が上がらない。脚は回るが踏ん張りが効かない。どうやら待機中に冷えすぎたようだ。心拍もいまいち。呼吸がきつい。とはいえ、例年ヒィヒィ言いながら登る1合目駐車場は難なくこなす。1合目名物のチアガールのお姉さんたちは今年も健在。今まで余裕がなくチラ見もできなかったけど、今年はしっかり目に焼き付けて気持ちをブーストする。

 

1合目から3合目までは傾斜の緩急が細かい。この「緩」の時に如何に稼ぐかが富士ヒル攻略のポイント。踏める乗り手はグングンと踏み進む。一方、私は軽いギアをくるくる回す。ケイデンス85 rpm前後を維持できるギアを探しながら、こまめに変速を繰り返す。そのため、この区間は各人の走りの好みが現れやすいのだろう。同レベルの選手と抜きつ抜かれつを繰り返す。溜めた疲労を回復するため、2合目手前でアミノバイタルプロ顆粒を飲む。効き目は上々。三合目まではペースを落とすことなく自己ベストを刻み続けた。

 

問題はここからだった。3合目から大沢駐車場(4合目手前)までは緩急が間延びし、斜度は5 %前後。レイアウトとしては稼ぎどころなのだが、この区間は視界が開け、風が通りやすい。今日の標高2000 m付近は北東へ向けた強風。そして進行方向は南。最悪だ。向かい風で一気にペースダウン。ケイデンスは80 rpmを切ることもしばしば。そして…そんな時にかぎって周りに壁にできる選手がいないんだよな。知ってた。ここで最後の補給 Mag-onジェルを口に押込み、最終区間へと突入した。


大沢駐車場につく頃、目標タイムに残された時間は20分。「ギリギリ間に合わないのでは…」という予感が頭をよぎる。それを必死に振り払うも、前区間の風でペースが乱され、なかなか調子が戻ってこない。しかも4合目以降は前半以上に緩急が大きく、リズムがつかみにくい。もはやペダリングもぐちゃぐちゃだった。ここで下り集団とすれ違う。コースを下り集団とシェアしなければならない。競技中の選手が使えるラインは半分に減り、追い越しがより困難になる辛い時間帯だ。

 

最後の平坦。ここでラストスパートだ。大丈夫、まだ脚はある。今日初めてアウターに上げる。このときのために脚を残していたんだ!一気にタイムを稼ぐぞ!前の集団にくっついて、空気抵抗を減らしながら速度を上げよう。前の集団…前の…前…前がいない!


ここでまさかの一人旅。でも、いないならしょうがない。加速するためギアを一つ上げる。ダンシング。一つ上げる。ダンシング。上げる。ダンシング。37 km/hで頭打ち。パワーの無さがここで露呈。逆に自分の後ろに隠れていたた選手が、私を発射台に走り去っていく。失速した私がフィニッシュライン手前、最後の8%坂をえっちらおっちら登っていると、手元の時計は無情にも90分を過ぎていった。

 

ゴール。ラップタイムは90分38秒。+1 min.しなければいけないので、おそらく公式記録は91分台。(あとで公式記録は91分57秒と判明。)予感は的中した。4分更新の自己ベストとはいえ、残念だが今年も90分の壁を超えることはできなかった。いろいろ言い訳はできるけれど、まだまだ地力が足りない事は明白だった。ゴール地点、TMNのメンバーとすれ違い言葉を交わすたびに、悔しさが胸にこみ上げた。来年こそは笑ってゴールラインを通過したい。そう思いながらスバルラインを下った。

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